Tomoyuki Takano MUSIC レビュー

夢の果てまでも

最初は普通に聴いた風なレビューを上げようかと思ったが、個人的に繋がりのある人間なのでそうとも行かないようだ。音楽と個人は切り離して考えるべきで、作品は独立した状態で語られなければならない。しかしどうしても私情が入らざるを得ないのだが、正直素晴らしいと感じた楽曲がリリースされた。古くからの友人の高野友之「SANZU RIVER」「TomoyukiTakano DEMO&Early Works」がそれだ。以下音楽音痴で文章も拙いなりにレビューしたいと思う。
「AMAZON Music」「Apple Music」「Spotify」や「YouTube」でもフリーで聴けるのでお時間のある方は是非レビューと合わせて楽しんでくれたらと切に願う。

三途川(SANZU RIVER)

https://linkco.re/hpYcGvQS

Sound Clound

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これが集大成と呼べるものかは分からないが、先行してリリースされたシングル。題名は想像される通り日本の神話の死と生の境界線にあるとされる「三途の川」がモチーフとされる。単純に美しくも遥か彼方を想起させるループサウンドにグリッチノイズの様な一見不規則な様でいて躍動的なノイズ、花火と足音を思わせる打音や様々な音色が危うさの中で絶妙なハーモニーを奏でている。導入部から続く人々の会話が現世での人の持つ喜びや、人生の中で失ってしまったかも知れない暖かさを表現しているかのようだ。
筆者は映画「すずめの戸締まり」で描写された「常世(とこよ)」「現し世(うつしよ)」を繋ぐドアを思い出した。美しく永遠を思わせる扉の向こうの「常世」。あのドアを開けた時の美しい光景がサウンドとして「現し世」に現出したと感じさせる壮大な一曲だと思う。

Tomoyuki Takano DEMO & Early Works

https://linkco.re/6D1TgA20

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17歳で初めてシンセサイザーとサンプラーを手に入れてから30代までの楽曲をまとめたもの。未完のDEMOやスケッチ、1999年に音楽監督を努めたファッションショーの楽曲を含めた20曲を集めたアルバムになる。
沖縄民謡の「ちんぐさの花」のアレンジに始まり、ライブテクノミュージックを彷彿とさせるリフレインの波に独特のメロディーラインやノイズ、実際の街の音声等を重ねた作品等が並ぶ。作られた年代(1990〜2000年前半?)を考えると「六本木Yellow」に代表される様なテクノ・アンビエントが注目されていた時代だと思う。恐らく日本初の野外大型(テクノ)フェスである「Rainbow2000」も1996年であった。
そういった時代背景を考えても独特絶妙なグルーブを感じる。
あえてモノトーン調にしてあると考えられるものもあれば、余裕があればもっと詰め込めたり、現代技術でMIX作業を重ねればもっと良い楽曲になるであろうと思われるものもあるが、諸般の事情があったのであろう。以下かいつまんでの楽曲の紹介と感想。

1.Chinsagu no Hana
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沖縄民謡のアレンジである。独特なテクノ調のベース音に三線の音が馴染み、何とも言えない異国情緒溢れる楽曲。パーカッションと供に所々に入る不思議な音色が現代味を感じさせる。

3.Air Phone
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恐らく時代的に「携帯電話」が爆発的に普及し始めた頃の作品かと思われる。街には電波が飛び交い、プライベートな会話が電子として波及し夜の街の雑踏と交わる。ノイズ混じりの音声とシンセの融合が楽しい。

6.Imitation Blue(DEMO)
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タイトル的に作者が好きそうであるのだがデモとなっている。リフレインするベースサウンドにアドリブ感満載のギター調のサウンドがとてもいい。筆者ANIは「kebu」も大好きなので重厚になったであろう完成版が是非聴きたい。

7.nice to see you
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透き通るシンセから始まり、ノイズの効いたドラムが素晴らしい。ボコーダーのアクセントも良く、アドリブ感満載でハジけながらもうねるシンセがたまらない。4分は短すぎるのでライブで長尺版を聴きたい。更に詰めてMIXすると完成度はもっと上がったのでは無いだろうか。ともあれ筆者の中でアルバム収録1,2を争う名曲。

8.Slowly Farewell
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「アンビエントかくありき」と言った感じの楽曲。前述の「Rainbow2000」で細野晴臣のライブが行われたのが夜中も夜中、丑三つ時で会ったと思う。今でいう所で「Chillってる時間帯」であろうか。規則性と不規則性のゆらぎを感じさせる。

10.fca
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あまりこの手の音楽を聴かない人には難解かと思われるが、規則的なリズム・Macintoshの読み上げ(内容については本人に確認中)に現代音楽的なジャジー味溢れるピアノが被さるのが哲学的だと思う。難解ながらも耳障りにならないバランスで淡々と流れる感じが醍醐味。

11.amb
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坂本龍一のあだ名が「教授」に対して我が敬愛する平沢進は「師匠」である。師匠味溢れる音色が個人的な好みである。

12.I make music,Music makes me.
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「せがびと」ならこれは「Rez」そのものではと思うのではないか。というか「Rez」のプレイフィールをまんま盤面に刻んだのがこの曲なんじゃないかという錯覚に陥る。因みにRezのAREA3の楽曲担当はテクノ界のゴッド「ケン・イシイ」である。作者は「Rez」を知らないはずなのだが、当時のテクノライブと言えば確かにこんな感じはあった。筆者にはどの道Yellowの活況というか、ライブでしか味わえなかったあの感覚がここにある。

13.Theme From Co Birth
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聴いてて思うのはPSO(宇宙を股にかけたネットワークゲーム)で母星を宇宙戦艦から見下ろすあの感覚。宇宙旅行を思わせるスペイシーサウンド。

14.Theme From BABY-GRAND
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幻想的な導入部から中盤の機械的な音色が格好良い。筆者の記憶によると1999年のとあるファッションステージで使われたライブ時の音源(?)だったと思う。尺がピッタリ10分なのはそのせいか。ステージの物語性を感じさせる一曲。

18.OBM

ネタを明かすと詰まらない気がするので何も書かない。

一通り聴いてみて

「SANZU」に至っては最近の楽曲だが、これだけの資産をよくここまで積んだものだと感服せざるを得ない。インターネット黎明期前からここ数年までこれだけの楽曲を精力的に作り続けた事、ただその事にまずは敬意を評したい。そんな事は「アーテイスト」「クリエイター」だから当たり前だと思うかも知れないけど、僕は「作り続ける」事の大変さを知っているつもりだ。
そして「Sanzu River」一曲をリリースして終わらせると言ったのを説得した甲斐がある楽曲群だと思う。
出来ればもっともっと出して欲しいと思うのは我儘だろうか。
人前に自分の作品を出す勇気を持って「DEMO&EaryWorks」を発表した君に只々賛辞を送りたい。おめでとう!ありがとう!このアルバムは「永遠」という名のプレゼントだ!

ani

直球のSEGA原理主義者。生まれて初めて買ったゲームは「セガMark III」ゲームとお酒が大好き

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